症例写真の見方
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目次
- 不正咬合:歯の不正咬合に関する写真をまとめました。
- 皮膚疾患:体表腫瘍を含めた皮膚疾患についてまとめました。寄生虫の写真は現在制作中です。
- その他の疾患
ウサギの切歯
ウサギの臼歯
麻酔下での処置前の上顎の歯です。咬合面がガタガタになり、特に左上顎の第一前臼歯は頬に向かって長く伸びすぎています。頬に刺さってはいませんでした。
同じ症例です。左下顎の第一・第二前臼歯が下に刺さってザックリえぐれています。当たり前ですが、かなりの痛みを伴います。こんな状態でも、がんばって餌を食べようと努力します。人ではありえないでしょう・・・。
歯にできた棘の部分を削り取りました。物理的な接触がなくなるため、口腔内の痛みは劇的に改善し、舌の傷も数日で修復されます。しかしながら、歯の軸が既に湾曲しているため、定期的な処置が必要にな事に変わりはありません。
別の症例です。一見、きれい並んでいるように見えますが、実際には全体的に長く、咬合面も段差ができています。右上顎臼歯は中央部分が短くなっています。まだ黄色く変色していないので、歯の”活きが良い”状態です。
対照的に、右下顎臼歯は中央部分が長くなっています。本来は平坦なはずの咬合面が、第一前臼歯・第二前臼歯・第一後臼歯の順に長くなっています。この症例でも、先端の棘が舌に刺さっていました。
歯にできた棘の部分を削り、可能な範囲で短くし、整形しました。
ウサギの鼻涙管閉塞
この程度の左目の涙でも鼻涙管閉塞の疑いが強くなります。ということは、不正咬合もある、ということになります。”ただの涙”と放置せずに、早めの受診をお勧めします。
眼頭と鼻をつなぐ涙の通路が詰まった状態です。不正咬合のため、上顎の第一・第二前臼歯の根尖が眼の方向に向かって延び、圧迫により流れが悪くなっています。結果として、流れの滞った鼻涙管に細菌感染が成立し、白濁・粘性のある涙・眼やにが眼頭からあふれ出ています。
当院では局所の点眼麻酔下にて処置を行っております。全身麻酔は使いません。処置後数日は涙・眼やにの分泌が減少します。しかしながら、日々の顔面の洗浄は、湿性皮膚炎防止のためには欠かせません。
通常では、ここまで白濁・粘性のある洗浄液は出ません。この症例でも、洗浄するにつれて、ほぼ透明になります。
当院では、自宅での目の周囲の洗浄用に、中性電解水(AP水)を処方しております。
ウサギの顎の膿瘍
不正咬合の最終形態です。右下顎が膿がたまっています。見かけ上は、少し食べにくい程度にしか感じないことも多く、飼い主様が触わって驚くようなサイズになってから来院されることも多々あります。
既にこの段階では顎の骨は重度に変形し、X線でみると状態の悪さが一目瞭然です。
別の症例です。左下顎に膿がたまっています。外見上は分かりませんが、実際には口腔内にも膿が漏れ出ていました。
犬猫とは生活スタイルが異なるため、口臭には気づきませんでした。偶然口腔内にも膿が漏れていたため、程度の悪さの割に外見上の顎の腫れは意外と軽度です。
”ノウサギ”の下顎の膿瘍です。ちなみに、ノウサギとアナウサギは全く別の動物で、いわゆる野生動物の扱いになります。
ウサギの足底皮膚炎
通常は、後ろ足のかかと寄り30~50%程度の部分で炎症を起こすのですが、この症例では、自分で毛をむしって、かつ舐めまくったのでここまでひどくなってしまいました。
通常は前足はなりません。痛みのために後ろ足をかばい、2次的に前足にも負荷がかかり、前足も毛をむしったためにここまで悪化してしまいました。
別の症例です。この症例でも、わずか数日で後ろ足を全面に渡って、自分で毛をむしってしまいました。ただ、幸いにも傷の深さが浅かったために、予想以上に早く治りました。
わずか10日程度で良好な発毛が見られました。炎症が治まってくると発毛の程度も良くなり、同時に皮膚も被毛によってガードされるようになるため、状態も急激に改善されました。
別の症例です。このレッキスの症例は左足の足底を圧迫すると膿が出てきました。レッキスは毛の生え換わりが遅く、足底皮膚炎になりやすいとは言われていますが、さすがにここまで重度に化膿する例はそれほど多くはありません。
その他の皮膚疾患
右の耳介に皮膚糸状菌というカビが感染しています。ヒトの水虫とは異なりますが、同様に他の部位・動物に接触感染します。
左の耳介に耳血腫ができています。耳たぶの皮膚と皮膚の間に血液等の液体がたまっています。外傷等によってもできますが、詳細な原因は分かっていません。この症例でも、外見上、耳の中は特に問題なく原因は不明でした。
同居の飼い犬に突然襲われました・・・。見るも無残な姿ですが、見かけよりも精神的なダメージが甚大で、それに体が耐えられなかったようです。普段は態度の大きい動物ですが、いざとなると、精神的に弱いですよね・・。
診断的治療により、鼻の周辺へのトレポネーマの感染が疑われました。確定診断は特殊な培養検査が必要になるため、あまり現実的ではありません。
乳腺・卵巣・子宮の疾患
正常では、ここまで乳腺列ははっきり認められません。この症例では、子宮腫瘍(おそらく子宮腺癌)があったために、卵巣ホルモン失調を起こし、乳腺が張ってると考えられます。この症例では、子宮にしこりがあるとはいえ、7歳を超えていました。
同じ症例の、お腹側からのX線写真です。下腹部に子宮と思われる大きなしこりがあります。
横向きのX線写真です。胸部に転移像が認められますが、日常生活では殆ど呼吸困難はわかりません。ウサギ自身はかなり苦しいはずですが・・・。
ウサギに生理はありません。色素尿でもありません。子宮出血に尿が混じったものです。このような状態でも、”元気・食欲があるから・・”と様子見をしていてはいけません。一時的に出なくなったとしても命にかかわる可能性が高いため、早急に受診してください。
別の症例です。左第4乳腺にしこりがあります。手術の結果、乳腺癌でした。ウサギの乳腺の腫瘍も、猫と同じく悪性の比率が高いと思われます。
この症例も乳腺由来と思われる腫瘍です。既に表面がはじけています。
その他の皮膚の腫瘍疾患
エンセファリトゾーン症(Ez症)由来と思われる斜頚
エンセファリトゾーンという寄生虫が感染することにより、”斜頚”が起きています。斜頚イコール Ezの感染ではありませんが、非常に可能性が高いといえるでしょう。神経症状の程度はさまざまであり、首をかしげる程度から、横転する程に重度の場合もあります。
ある日突然、斜頚はやってきます。発症直後は、とにかく投薬・食事・水分の補助が重要になるため、早急な来院をお勧めいたします。
この症例では、治療開始後1年以上経過しています。血液のEz抗体検査では、Ez陰性が確認できましたが、神経症状は後遺症として残存しています。しかしながら、自宅では斜頚があるとはいえ、驚くほどに適応しています。ただ、通院等の刺激が加わると、一時的に斜頚が悪化してしまいます。
Ez由来と思われる眼疾患
左目に白内障があります。この症例では、続発性の緑内障も併発しています。ウサギの白内障イコール Ez感染ではありませんが、Ezにより発症する可能性は高いと言われています。不思議なことに、目の症状の場合、斜頚が発生することは少ないようです。この症例でも、斜頚・右目の症状は認められていません。
同じ症例の3年半前(左)および2年半前(右)の画像です。徐々に進行しています。
左眼に水晶体破裂性ブドウ膜炎と思われる病変があります。縮瞳が起きています。右の写真は同じ症例の正常な右眼です。左眼のブドウ膜炎は”痛いはず”ですが、ウサギの場合痛みを感じていないように見えます。人から見て、そう見えるだけかもしれませんね・・・。
2症例とも右目に水晶体破裂性ブドウ膜炎と思われる病変があります。既に失明していると思われます。しかしながら、現実的には本当に細菌性なのかEz性なのかは確定診断できません。
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